当社にいらっしゃったお客様の中には、他社で購入した自動車の不具合に困り果てて来店なさる方もいらっしゃいます。
どこからか異音がする。
走行中に、どこからともなく音がする。なんだろ?
天井の方から音がしない?
気になるね。
こんな会話があったのかはわかりませんが、原因不明の音が鳴り止まないのは、あまり気分のいいことではありません。
そのため、そのお客様は、購入した自動車販売店に修理を依頼したそうです。
原因がわからないから直せない。
販売店は、音がする場所を確認してみましたが音が聞こえてくる場所が毎回変わってしまい、どこから音がしているのかが分らないということだったようです。
そこで困り果てたお客様は、当店に異音についてご相談にご来店されました。
当店で行ったこと。
まず、音がどの辺りからしていて、どのような音なのかを確認する作業から入りました。
通常に走行していて、段差を越えると車内の左側から「パキッ」という音がしていました。
ただ、左側のどの辺りから音がしているかまでは特定は出来ませんでした。
音のしている感じからは、車内のプラスチックや樹脂などの素材から発生している音とは異なる、車の鉄板や溶接部分がきしむ様な音がしていましたので、音が出ていることを確認した後は車内のシートや内張りを取り外して、鉄板がむき出しの状態にしました。
その状態で、再度試乗走行をしてみると左側の真ん中(前と後ろのドアの間の柱のあたり)の辺りから「パキッ」と音がしていました。
大体の場所がつかめたので、原始的な方法ですが、音のしている辺りを手で押さえながら試乗走行を改めてしてみました。すると、大問題が発生しました。
今度は音が左後ろから聞こえてきたのです。何度か同じ方法で音がしている場所を押さえながら試乗走行をしてみたのですが、その度に音が発生している場所が変わってしまいました。
ついには、左側ではなく右側の後ろからも音がするようになってしまいました。
心霊現象のラップ音のように点検をすればするほど、音の発生場所が移動していく。
ただし、音は決まって「パキッ」とする。非常に頭を悩ませました。
そこで、ある機材を使用しました。
それが、これ。音源探知機といいます。
使用用途は、そのまんまで異音の発生元を調べるための機材です。
センサーの近くで異音が発生すると異音が発生した際の僅かな振動をセンサーが感知して、インジケーターランプが反応して異音の発生元を視覚的に確認することが出来るようにする機材です。
今回は、音の発生元と思われる場所が毎回移動してしまうために、どこが発生元か分らない状態でしたので、音の聞こえた場所にセンサーを取り付けて一つ一つ確認をしていく作業を繰り返しました。
すると、音が聞こえてくる場所の全てで反応が無く、発生元ではなかったのです。ただ、音自体は止まることは無く聞こえてきます。
そこで次にセンサーを車のルーフ(屋根)とピラー(柱)とフロア(シートの下)に分けて取付して点検してみました。すると、考えてもいなかったフロアでの反応が一番大きかったのです。
今度は、フロアのどの辺りからしているのかを詳しく調べる為に、フロア全体にセンサーを取り付けして確認すると、どうも左側から音がしているらしいが、反応がそれほど大きく無い。
もしかすると、車内では無い可能性があるのかと思いセンサーの1つを車の足回りに取り付けして点検をしたところ、足回りにつけたセンサーがこれまでに無いほど大きい反応を示していました。
最終的には、左後ろの足回りの部品の溶接部分の圧着が弱くなっていたことが原因で、段差等でゆがみが発生してその振動が車内に伝わり、車内の色々なところから「パキッ」と音を発生させていたのです。
その圧着が弱くなっていた部分を修理して、再度試乗走行を行ったら音が消えており、センサーにも異音の発生している反応は出てこなくなりました。
点検結果と原因と修理内容等をお客様にご来店頂いて、お車の状態を見て頂きながらご説明しましたら大変喜んで頂けました。
また、修理後にお話しを伺いましたら、「全く音がしなくなって本当に助かりました。今ままでは音がすることが恐怖でもあったのですが今では快適に車に乗れています。」とおっしゃって頂きました。
音の発生は車や状況などにより全て原因は異なります。
車や音の内容、発生場所によって診断・点検費用も異なります。
今回のお客様のように診断・点検費用はかかりましたが「快適に車に乗りたい」というご希望を叶えることが出来て、私たちも非常に嬉しかったです。